ミネラルファンデの系統
排水の温度が高ければ高いほど、底生生物に及ぼす効果は有害である。
生物種が温排水から受ける感受性は、排水の温度が自然における年間最高気温に近づくに従い、あるいはそれを超えるときに増大する。
だから、有害な効果は冬よりも夏の方がずっと大きい。
冬には存在していた生物種が夏には消滅することがある。
熱汚染が藻類に及ぼす作用はきわめて変化にとんでいる。
熱帯地方(フロリダ)で相当な蝿死が見出されているかと思えば、南カリフォルニアでは大堆の繁殖が見られる。
藻類の物質代謝はしばしば温水によって変化を受けるが、そのことは植物プランクトンに対しても、大型の底生植物に対しても等しく当てはまる。
寒い季節のあいだは有害な効果は著しく微弱に(ほとんどゼロにも)なる。
動物に関して言えば、若いイガイはほとんど影響を受けないが、その捕食動物、ミドリガニの活動は著しく減少することが認められている。
ある場合には、温度の上昇によって疑いもなく相乗作用の現象が非常に強く現れるからである。
物禰の生殖期間が長くなり、幼生の固蒋する条件が改善されたために、急激な繁殖が観察された。
また、もっと温かい水に住む種では良い発育が見られたが、その最もよく知られた例として多毛類カンザシゴカイがある。
動物プランクトンについては、アメリカ合衆国東海岸のいくつかの河口で、かなりひどい死が観察された。
この枯死の原因は、直接的には底生生物に対するのと同様な温度上昇と関連があろうが、しかしまた間接的には、温められた海水の比重が、それよりも冷たい水に比べて減少したことによるものであろう。
このとき、動物プランクトンは本来有する浮力の一部を失い、そのためにもはや、もっと冷たい水や、附食とする餌のない水の中に引きずりこまれようとする傾向に打ち勝つことができなくなる。
実際、ある種の動物プランクトンを襲うこのような蝿死は、主として工場の導水管を通過する際に受けるストレスに帰すべきものと思われる。
換言すれば、それは通過により生ずる後遺症の死ということになろう。
炭化水素海上での大災害を別にすれば、炭化水素の作用をそれに付随する他の汚染と切り離して観察できる機会はめったにない。
さらに想起しなければならないのは、そのような事故の際に海に放出される炭化水素の量が、海上・陸上でのあらゆる石油廃棄物によって生ずる慢性的な汚染の、ほんの一部でしかないということである。
一般的に言って、原油の大量放出による損害は、それが短期・長期のいずれにしろ、燃料油のような石油生成物による損害にくらべれば、それほど重大ではないように思われる。
石油生成物が海の生物に及ぼす作用は必ずしも致命的なものとは限らないが、だからといって、その作用を甘く見ることは禁物である。
ほんの微量でも重大な影響を引き起こすことがあり、ことに食物連鎖に沿って炭化水素が蓄祇されるような場合は危険である。
炭化水素の汚染から生じる危険の特別な事例は、前にも示したとおり、海のごく表層の薄い膜面に、炭化水素が集中する傾向を持つことから生じる。
表面から数センチのところには、卵と幼生のとくに豊富な、ヒポニューストン(水表下生物)と呼ばれる生物群集が存在しているので、その状態に変化が生じると、商業的価値のある様々な生物種の保全が危険に瀕することになる。
要約すれば、炭化水素の作川は互いに背反しない3つの仕方で現れる。
第一の場合は微妓による慢性的な汚染であって、これを検出するには動植物の生理学的メカニズムに対する長期間の干渉の結果(とくに炭化水素の燃えかす)を見るほかない。
それに比べると、藻類に対する影秤は軽微であったように思われる。
難破から3カ月経って、藻類が勢いよく繁茂生育している有様がうかがわれたが(とくに巨大な褐藻類のジャイアント・ケルプ、学名マクロシスティスミミ)、その理由は石油が藻類の成長に有益であったためではなく、おそらくは藻類、とくに若年期の藻類を食用とする蕊食性動物が死滅したためと考えられる。
事実、難破による汚染の際に消滅した動物種の大部分が、再び姿を現すまでに陸数年の歳月が必要であっ汚染に関係する生物種の食物の種類や、栄養の程度からは独立している。
最も敏感な種が消滅するために、生物群集が変化することがある。
第2の場合もやはり慢性的な汚染(石油用の港や施設の近くで生じる)であるが、この場合には炭化水素が食物連鎖に沿って段階的に濃縮されながら伝達していく有様が、いっそう明らかに見てとれる。
そのことはとくに食用魚の脂肪に固着した炭化水素の残留分や誘導体から知ることができるが、元はと言えば、はじめは植物に固着し、ついではそれらの魚の餌になる底生無脊椎動物やプランクトンに固着するような、ありふれた汚染に由来するものである。
この場合にも、炭化水素に敏感な非常に多くの種が消滅する事実によって、やはり即効的な作用が認められる。
第3の場合は、すでに述べた石油の災害的な事故の場合である。
これはそこに住む生物群集の大量破壊をもたらすが、その破壊は多かれ少なかれ一過的な性質のもので、あとになっていずれは復旧する。
この復旧の図式は変化を受けた生物群集の性質や、大災害の発生時の条件や、災害の結果を緩和するために取られる手段、などによって変わってくる。
殺虫剤の効果は非附によく研究されており、ことにアメリカ合衆国では、多くの川の河口で監視システムが設置されている。
これらの河口は、とくに水系を通じて、農業地帯の排水による汚染にさらされている。
殺虫剤の作用は激しい場合のこともあるが、たいていは致命的なものではないので、それだけにいっそう油断がならない。
殺虫剤は現実に地球上のいずこを問わず、ほとんどすべての海中生物に見出される。
南極に住むペンギンからも殺虫剤が検出されているが、これは明らかに常食にする魚によって汚染されたものである。
また、烏はとくに殺虫剤に侵されやすいが、ペリカンの数が減少したのは、卯殻がもろくなったせいであると考えられている。
その原因は、殺虫剤によってカルシウムの物質代謝に障害が引き起こされるためであることが、いくつかの種について実験的に確かめられた。
またDDTは庇嚢中にある魚卵の発生を妨げる働きのあることが明らかにされた。
さらに魚のえらの上皮の変形と、血液巾のヘモグロビンの割合の減少が認められた。
もっと一般的なことだが、酵素の働く複雑な過程が多くの海中動物のあいだで大幅に変化しているようである。
このような物質代謝に与える障害のほかに、さらに動物の行動に与える障害がある。
たとえば、索餌行動に関する障害である。
2枚貝やイガイやカキは、きわめて微量の殺虫剤に対しても敏感な反応を示し、殻を閉じてしまうことが観察された。
これらの軟体動物は、殺虫剤の溌性作用に対してこのような一時的な抵抗が可能である。
しかし、殻を閉じる時間が長びくと餌の摂取を妨げられるし、そのうえ、さらに汚染物質の作用が長く続く場合には、こう言ってよければ、窒息して死ぬか、中毒を甘受するかのどちらかを選ぶほかない。
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